2008年 3月 27日

11枚のとらんぷ

カテゴリー: 2003, 書評 — yanusi @ 5:07 pm

奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、
マンションの自室で撲殺死体となって発見された。しかも死体の周囲には、
奇術小説集『11枚のとらんぷ』で使われている小道具が
壊されて散乱していた。
この本の著者鹿川は、自著を手掛かりにして真相を追うが……。

公民館でのマジックショーから始まるんですが、
その雰囲気とか緊張感、ドタバタ感がとても好きです。
その他にもいたる所でマジックが炸裂し、
文で読んでるだけなのになんか満足してしまった。
エンターテイメント性も高く、ラストもとても俺好みでした。
これをよむとみんな手品したくなること請け合い。

ちなみに泡坂妻夫は
直木賞受賞の記者会見で手品を見せた初の作家らしいです。(無駄知識)

マニアックス 2

カテゴリー: 2003, 書評 — ちゃんぷ @ 5:07 pm

Ⅱ 映画狂(シネ・マニア)たち
【女優志願】
20年代アメリカ。
トーキーの出現により「歌って踊れる」事が女優の必須要件だと考えるメイド少女。
だが整っているとは言い難いルックスのため、
どこのオーディションでも門前払いを喰らっていた。
彼女はたまたま訪れた闇酒場(当時は禁酒法時代)で、
悪魔めいたバーテンから魅力的な話を持ち掛けられるが……。

あらすじを書いていると、改めてこの人のうまさがよく分かる。
これも典型的なホラー作品ながら、叙述的な仕掛けが施されております。
あ、全然ネタばれじゃないんで。

【エド・ウッドの主題による変奏曲】
新人監督が撮った作品『原始プードルの逆襲』を視聴するプロデューサーとプロモーター。
……だが、彼の作品は直視するのが苦痛になるほどの大・大・駄作であった。
時代がかっている割に無内容な台詞。
あまりにもチープで陳腐なストーリー、演技、セット。
二人は呆れ果て、あらん限りの罵詈雑言を投げかけるのであった。

うわーい、なんだこれー。
作中作の映画ね、すげーよ。
めちゃ見たい。
エド・ウッドって、名前は聞いた事あるけども……。
これを読んだら彼の作品見たくなる事、間違いナシ。
んなこたぁない。


Ⅲ 再び蒐集家(コレクト・マニア)たち
【割れた卵のような】
臨月の妻を持つ主人公・竹宮真次。
彼の周囲では最近、幼児の転落事故が頻発していた。
そして町に増えた外国人労働者の人々。
同級生の弁護士・園田に紹介された外国人夫婦は国籍を持たない、
パジェル人という流浪の民だった。
新たな転落事故が起き、不安に駆られる竹宮は、
あるテレビ番組を偶然目にする……。

これも、うまくまとめられている。
ってかこんな話よく考えるわ。
やめよーよ、子供の頭を潰すのは……。

【人形の館の館】
ニコラス・ブランストン伯爵は、
熱狂的なドールハウス蒐集家として名を馳せていた。
それらを集めた『人形の館の館』に招待された、
旧友であり推理小説家のヒュー・グラント。
コレクションの数々に嘆息するヒュー。
だが、ニコラスにはある目的があって彼を館に呼んだのであった……。

この短編集の中で最もミステリー色の強い作品。
もともと雑誌の密室特集のために書かれたのだから当然かな?
ただ、これ単独で読んだら間違いなく怒り出すでしょうね、僕。
かと言って、この短編集の最終話に持ってこられると、
ちょっとラストが読めてしまうかも。
難しいところです。
とは言え、最も『マニアックス』的な作品である事はまず間違いないっす。


ちなみに僕は講談社文庫で読みました。

アクロイド殺人事件

カテゴリー: 2003, 書評 — 有里 @ 5:07 pm

第一線を退いた名探偵ポワロは今や片田舎のキングズ・アボットに隠遁し、
カボチャを栽培する穏やかな日々を送っていた。
しかし、そんな彼を飛んでもない事態が襲う。
カボチャが思うように育たない!!
キレたポワロは、とうとうカボチャを塀の外にぶん投げてしまうのだった――。

というわけでこの作品は、
アクロイド氏の殺害された事件の謎にポワロが挑むというものです。
今から80年ほど前に書かれた『THE MURDER OF ROGER ACKROYD』は
クリスティの著作の中でも特に有名なものの一つでしょう。
しかし、だからと言ってクリスティ作品への取っつきとして
いきなりこれを読んでは、この作品の真の面白さは味わえないかも知れません。

その理由はヘイスティングズ大尉の存在です。
ヘイスティングズはポワロにとってのワトソン役であり、
彼がポワロの活躍を書き留めたという形の作品も数多くあります。
ヘイスティングズ自身はこの『アクロイド殺人事件』には登場しません。
しかし彼の名前はこの作品中で幾度となく挙げられます。
作中でポワロによって語られる彼の人となりを確かめるためにも、
「ヘイスティングズもの」の二、三作に慣れ親しんでおくことをお勧めします。

もちろん単品で読んでも楽しめるストーリーであること変わりはないでしょう。
鮮やかなトリックと、登場人物たちの描写。
語り手シェパード医師とその姉キャロラインの会話なども、
何度も読み返したくなる味があります。

トリックも含めて、個人的には物凄く大好きなこの作品。
フェア・アンフェア論争を巻き起こしたことでも有名ですが、
さて、あなたの評価はいかに?

オリエント急行の殺人

カテゴリー: 2003, 書評 — 有里 @ 5:07 pm

アガサ・クリスティの超有名作品。
有名すぎて今更という感じがしないでもないのですが、
まずは一応あらすじから。

ヨーロッパを横断する急行列車の上、
乗客の一人が刺されて殺されているのが見つかった。
犯人は列車に乗り合わせた人々の誰かとしか考えられない。
事件に遭遇した探偵ポワロはさっそく捜査に乗り出すが、
乗客たちにはいずれも動かしがたいアリバイがあった……。

久々に読み返してみて思いました。
「なんか退屈な話だなぁ」と。
それもそのはず、容疑者13人の事情聴取を終えるだけで
既に物語が半ばまでを終えてるし。
ストーリーの特質上、仕方ないと言えば仕方ないんですが。

しかし、そんな中でも伏線の張り方にはクリスティらしさが満開。
怒濤の真相解説シーンには思わず引き込まれます。
力押し気味の謎解きは、読者によっては納得し難いかも知れません。
が、評価すべき点は発想力ということで一つ。

ところで、クリスティは日本の「キモノ」を何か勘違いしてるだろ、絶対。

改定完全版 異邦の騎士

カテゴリー: 2003, 書評 — ちゃんぷ @ 5:07 pm

前々から読もうと思っていた、氏の代表作。
他の御手洗モノは殆ど読んでいるのに、何故これだけノーマークだったんだろう?

内容は、記憶を失った男の狼狽から始まる。
過去の事は全く思い出せないものの、
一人の女性と同棲を始め、小さな幸せを手に入れたかに思えたが……。
怒涛の如く押し寄せる、主人公の、信じられない過去の数々。
彼は全てを思い出す事ができるのか……。

いやぁ、すごいすごい。
何がすごいってこんな途方もない計画を実行した犯人が凄い。
中盤の、幻想的・悪夢的な光景は後の『眩暈』に繋がるものがありますな。
さすが初期の島田荘司(←他意はありません)。
それに加え、御手洗のキャラがやたらと立っております。
若さ故――なのか、演説癖や名前に対するコンプレックスなどなど、
御手洗ファンにはたまりません。
僕は違うけど(笑)。

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